高層住宅での弊害 〜子供に孤独や緊張を与えないこと〜

 1970年代にイギリスで行われた科学的調査で、マンションの上層階に住んでいる家庭では、階下への物音などの心配や周囲との付き合い、子供を比較されることから受けるストレスで母親や子供が心身症になりやすいという結果が得られています。これを受けイギリス政府は、3歳以下の子供が2人いる母親が1人で子育てをするのは困難であると認め、公営の高層住宅を低層の住宅に変更し、2人以上の子供がいる家庭には、必ず地続きの庭を作りました。
 このことからも分かるように、人間の子供は地の上で育つもので、現代の日本にも多く見られる高層住宅での子育てが、乳幼児期の子供の脳の発達に本当に良いのか、という点がこれからの研究の課題となっています。
 また、日本では早い時期からの「自立」を求めたがりますが、母親が自立と言って子供を拒絶した場合、子供は孤独になってしまいます。その他にも、「抱きぐせがつくから」といって抱くことを禁じたり、年配者が戦時中に自分が受けた厳しい軍隊調の教育を強要したりすることなどは、母親をとても神経質にしてしまいます。神経質な母親に育てられる子供は、常に緊張した状態で生活しています。小さい時から緊張した中で育っている子供の脳の発達は効率が悪く、警戒したり、防衛反応を示す子供になってしまいます。
 あるうつ病の母親のケースも、小さい頃の緊張が原因で育児ストレスを抱えていました。自分の子供をかわいがることのできないという、この母親にその生い立ちを問いただしてみると、子供時代に自分の母親に抱かれた経験がなかったということが分かりました。戦争孤児であった父親が、やっと手に入れた妻との間を壊されると思い、妻が子供を抱くことを嫌がったことが原因だったようです。この母親の場合、原因を究明し、自分の母親との関係が改善されたことで、自分も子供をかわいがることができるようになりました。



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