転倒予防〜筋力を付け、環境を整えることが寝たきりを防止する〜

 アメリカのハーバードバンガーとヘブリューリハセンターでは、パーキンソン病や脳卒中などの疾患を持っている人へ筋力トレーニングを続けた結果、2年間で転倒した人は誰もいなかったというデータが出ています。このことからも分かるように、筋力トレーニングは、継続すれば確実に力が付いてきます。在宅での日常生活が送りにくい人や虚弱な人でも、トレーニングをすることで能力が増強し、転倒予防になるだけでなく、日常生活が過ごしやすく変化してきます。
 日本では群馬県の鬼石町にある、老人会で筋力トレーニングに取り組んでおり、各地区の約70パーセント位にまで普及しています。1人で行う運動はなかなか難しいですが、地域住民が主体となってトレーニング教室を開き、身近な人と行えば仲間意識を高め長続きさせることができます。
 これまで述べたように、内因対策として体の機能を高める筋力トレーニングは有効です。高強度、中頻度のトレーニングを続け、転ばない自信を付けることは転倒予防になり、意識して落ち着いて行動することは痴呆の予防にもつながります。
 しかし、転倒事故には筋力が弱い、体力が落ちているなどの内因の他、明るさが足りない、段差があるなどの環境的外因、また、慌てたり、急いでいたり、さらには睡眠薬などを飲み寝ぼけて転倒してしまう行動要因などもあります。
 外因対策として環境を整備することは重要です。暗がりでは、周りがよく見えないので転倒しやすくなりますが、明るくしておけば予防できます。また、段差のないユニバーサルデザインやバリアフリーにすることも環境の整備になります。
 また、高齢者の不調は慢性的な病気が多く、完全に治ることはあまりありません。例えば、脳卒中などで麻痺してしまった箇所を動かすことは、非常に困難なことです。この場合、麻痺してしまった部分だけをリハビリするのではなく、それ以外の部分をリハビリで強化していくことが大切です。動かしにくい箇所を補えるように筋力を高め、自分の体と上手に付き合うことで日常生活にも対応していくことできるようになります。
 最後に加えますが、これらの内因や外因以外のさまざまな原因でも転倒は起こり、その全てを防ぐことはできません。ですから、普段から環境を整え、ウォーキングや筋力トレーニングをする、一人ひとりが転倒しないように意識をする(自信を持つ)ことが寝たきりになるのを防ぐといえるのではないでしょうか。



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