歯の本数と噛む力  〜歯が1本減るごとに、噛む力も減少する〜

以前は、自分らしい生活をしながら最期の時の迎えるためには、どこかのホスピス(施設)に入らなければできない、家族や本人が不安を抱えながらの在宅ケアは良くないのではないかなどと思われていました。しかし、現在は家で普通の生活を送りながら人生を終えることは可能であることがわかってきました。以前と比べて在宅ケアのシステムもかなり整ってきているため、患者も家族も最期まで安心した気持ちで自宅での日常生活を送れるようになってきました。

  忙しい病院では、死が近づいて食事が摂れなくなった患者に対し、鼻や胃にチューブを入れて栄養を摂取させる場合がありますが、在宅ホスピスではできるだけ自然な状態を維持すため、口から食べられる方法を考えます。徐々に食事が摂れなくなっていく姿を見ることは家族にとっても非常に辛いことですが、無理に食事を摂らせることは患者の心身へプレッシャーをかけることになり、弊害を引き起こす可能性もあります。

  大切なことは、食べられる時に、時間を掛けても食べられる分だけ食べてもらい、喜びを感じてもらえるようにしていくことです。無理な延命治療をするのではなく、患者が苦しむような状態でなければ自然の経過に任せて、食事や排泄などができるようにすることが重要です。

  また、病院や緩和ケア病棟では制限があるようなことでも、家であればできることも多くあります。好きな時にコーヒーが飲める・タバコが吸える・入浴ができる・家族の手料理が食べられる・絵が描きたいときに描けるなどは、集団生活の場である病院では難しいことですが、家であれば可能です。痛みや苦しみは、薬などの治療だけで緩和されるわけではありません。痛みを聞いてくれる、理解してくれる家族や親しい友人の存在や自分のしたいことができる状況が、痛みや不安を和らげることに繋がります。実際に患者は、コーヒーを飲んだり、タバコを吸うことで痛みが軽くなると感じたりすることもあるようです。

  さらに、病院に入院していては限られた時間でしか家族や親しい人と接することはできませんが、自宅であれば食事を作る・家事を教える・子供の世話をする・仕事をするなど家族の一員として自分の役割を果たしながら生活することができます。最期まで自分の好みや趣味が楽しめる、日常生活と切り離されずに生きる意味を持ちながら最期を迎えられるという点も、病院や施設と在宅ホスピスケアの大きな違いといえます。



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