インスリンは、特に筋肉と肝臓に働きかけます。体内で最も大きな筋肉は足にあり、立つ、歩く、座るといった動作だけでもブドウ糖をエネルギーとして使います。さらに肝臓も、インスリンが分泌されると血液中のブドウ糖を肝臓内に取り込みます。そのため、血糖値が上がってもインスリンが分泌され、筋肉と肝臓が活発に動いていれば血糖値はすぐに戻り、ほとんど変化しません。
ところが、「肥満」で筋肉や肝臓に脂肪が付き「脂肪筋」や「肝脂肪」になると、筋肉や肝臓が正常に働かなくなります。インスリンが分泌されても、筋肉や肝臓が働かなければ、食後の血糖値は下がりません。しかし、健康診断では空腹時に検診を行うため、血液検査で「空腹時血糖は異常なし」という結果が出てしまいます。
ブドウ糖の濃度が高く、高血糖の状態が長く続くとすい臓のインスリンを分泌する細胞が弱ってきます。すい臓がインスリンを出さなくなれば、食後だけでなく、空腹時の血糖値も高くなります。つまり、筋肉や肝臓に脂肪が付き、すい臓が弱り、空腹時の血糖値も高くなった状態、これが健康診断で「血糖が少し高い」の正体です。検診で指摘される頃には、すでにすい臓の力が弱ってきている可能性があります。
健康診断で少し血糖値が高いといわれても、初めての病院では正しい診断をしてもらえないことがあります。そのため、検診の結果を持って掛かり付けの病院に行くか、糖尿病に詳しい専門医を受診すれば、すい臓の状態が分かるかもしれません。健康診断での数値がひどくなくても一度、きちんと調べてみることは大事です。