日本では明治時代に肉食が流行し、それを防ぐため「食養生」という本が書かれました。この「食養生」は養生法の1つで、食べて命を養うことです。同じような考え方で、当クリニックでは腸のために、食べて腸を養う「食養腸」という言葉を使っています。
食養腸は、腸にとって良いものを「腸プラス」、腸にとって悪いものを「腸マイナス」と考えます。この食養腸にとって必要な物質は、水分・マグネシウム・オレイン酸・食物繊維・乳酸菌・オリゴ糖などが挙げられます。また、ペパーミントも効果的で、漢方で使われていたり、ドイツなどでは過敏性大腸のコントロールをするのに有効であるともいわれています。この他、ビタミンCもお腹の蠕動運動を起こさせる作用があります。
これらをバランス良く、積極的に食べていくと腸は活発に動きます。腸に不調を抱える人だけでなく、普段から腸が活発であっても、腸内環境を整える意味でもこういうものを美味しく食べ続けていくことが腸プラスになります。
また、普通の生活で腸に問題がなく、動きがスムースな腸を「リラックス腸」と考えます。このリラックス腸にも腸プラス、腸マイナスの法則があります。腸の具合が良いリラックス腸の時は白米ではなく、食物繊維や健康に良い要素をたくさん持っている玄米の方が良いでしょう。前に述べたように、玄米は消化があまり良くありませんが、しっかりと噛んで食べると消化も多少良くなり、腸プラスに働きます。
逆に、過度のアルコール摂取は、腸に負担をかける腸マイナスの要因です。アルコールは小腸を刺激し、下痢を起こしやすい物質のため、腸がスムースに動いている時期でも、飲み過ぎには注意が必要です。アルコールと大腸がんの関係もよく分かっていませんが、WHO (World Health Organization:世界保健機関)では、アルコール過剰摂取が、大腸がんの危険因子になると述べています。さらに、腸プラスに作用する水分も過度の摂取は逆効果になります。アルコールも水分も「適度に摂る」ことが大事です。同じようにビタミンCを多く含む果物も摂り過ぎはいけません。肉食や酸化した油、手軽に食べられるファーストフードは、腸がスムースに動いていても腸マイナスになる避けた方が良い食品です。