「ぼけ(痴呆症)」には、大きく分けて「脳血管性痴呆」と「アルツハイマー型痴呆」の2種類あります。30年前は、脳卒中後に血管性の痴呆症になる人が圧倒的に多く、全体の過半数を占め、アルツハイマー型痴呆は全体の30%にも満たない程でした。ところが現在では、痴呆症の約8割がアルツハイマー型痴呆になってきています。これは、成人検診、高齢者検診が普及し、血管障害の原因となる高血圧や高コレステロール患者を早期に見付け、治療ができるようになったからです。このことからも分かるように、脳血管型痴呆は予防が可能ということです。
日本とは逆に、欧米では以前からアルツハイマー型痴呆が多く、脳血管性痴呆は非常に少ない状態でした。その理由は、日本人と欧米先進国の人では脳動脈硬化のパターンに違いがあったからです。日本人は、脳の動脈硬化が重く、頚動脈の動脈硬化が少ないという特徴があり、欧米先進国では、頚動脈の動脈硬化が多く、脳の動脈硬化が少ないという特徴がありました。そのため、以前は脳血管が細くなり、詰まりやすくなる日本人に脳血管障害が多く、それに伴う痴呆症も多かったようです。しかし、近年では日本人の食生活が変わり、脂肪の多い食品や肉類が増え、野菜の摂取量が減っているため、脳よりも先に血液の通る首の動脈硬化が進み、脳血管性痴呆とアルツハイマー型痴呆の割合も欧米と同じようになってきています。