大脳皮質と痴呆 〜大脳皮質と治療の難しいアルツハイマー型痴呆〜

 脳の外側には「大脳皮質」があります。ここは、司令を出したり、情報を受け取ったりする働きをしています。私達が感じたり、考えたりできるのは、大脳皮質にある神経細胞が複雑に絡み合い、情報を脳に伝える電線の役割をしているからです。この大脳皮質で出される線維が、脳の中心辺りでクロスするため、脳の片側に損傷を受けると損傷を受けた脳とは反対側の体の部位に麻痺が起こります。
脳血管障害は、この神経線維が絡み合う脳の中心部で起こりやすい障害で、切れてしまった神経線維の役割を他の神経線維がある程度カバーしてくれます。そのため、脳血管性痴呆は、症状がある程度軽く、少しは回復が望めます。
しかし、アルツハイマー型痴呆は、電線の役割をする神経線維ではなく、重要な司令部の大脳皮質に障害が起こるため、症状も非常に重く、薬もないため治りにくい病気です。神経細胞の中に「神経原線維変化」が起こり、神経細胞と神経細胞の間に「老人斑」と呼ばれるシミ状の病変ができるため、全体的に機能が低下しています。
平均が80歳の1115人を解剖して調べたところ、症状の有無に関わらず約80%以上の人が脳に血管障害を持ち、血管障害になっていない人は、わずか16%という結果が出ました。ところが、脳に血管障害が出ていても症状が軽く、寝不足や疲れだと思い放置している人も40%程いるようです。脳血管障害を起こしていることに気づいていないため、診断や治療を受けずに過ごしていますが、2度目の脳血管障害を起こした時には、大きなダメージを受ける可能性もあります。今は、CTスキャンなどで症状がなくても脳血管障害を見付けることができるため、予防と治療のためにも高齢者検診をしっかりと受けることは不可欠です。



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