在宅ケアに必要なもの 〜患者や携わる人の心と健康状態への理解が成功に繋がる〜

 在宅で最期を迎えられた79歳の女性の事例です。この人は、胃癌で胃を全て適出し、食事ができなくなり、主治医から入院している必要はないという判断がされたため、在宅ケアを勧められました。自分の家に帰り、水分補給を中心とした在宅ケアを行い、自宅のお気に入りの籐のベッドで、ゆったりと療養されていました。その結果、入院中よりも元気になり、頭もはっきりとしてきたそうです。体調に合わせた処置が続けられ、自宅で家族や医師に囲まれて眠るように最後を迎えられました。
亡くなる前には、吐き気や下痢など、いろいろな症状が起こり、最後は顎で呼吸をするようになっていきます。しかし、このような症状が出ても、その時々で適切な薬や貼り薬で対応をしていけば、症状は治まっていきます。また、このような説明を事前に家族にしていたため、家族が呼吸の変化に気づいて医師を呼び、最後まで自宅で過ごし、家族や医師に看取られることができたケースです。
在宅ケアでは、病院のように医師や看護師が常にそばにいる環境ではないため、家族は患者の症状に不安や心配を募らせてしまいます。そのため、今後考えられる状態や変化を説明し、理解しておいてもらうことが在宅ケアを成功させるポイントです。
最近では血管の中に点滴の針を入れなくても、皮膚にプラスチックの針を使って点滴ができる「皮下輸液」というものがあります。針を血管に入れていないため、動いても抜けず、家族だけでも2、3日は安心して様子を見ることができます。喉が渇いていてもうまく飲み込めず、誤嚥してしまうような人でも、皮下輸液があれば渇きを解消し、苦痛を少なくすることができるようになっています。皮下輸液を2週間行い、約1ヶ月後に亡くなった96歳の女性の場合、家族がさまざまなことを心配されていたため、1つ1つ細かく説明していきました。そして、最後は自宅で看取ることができ、本当に良かったと感じられたようです。



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