20年程前に医師の間で1つの確認が行われました。それは、医学が患者に対し、興味本意や患者の人格を無視した状態で治療を行わないというものです。これは、無意味な延命や医学の発展のためにと検査を目的に患者を扱わないということを決定したものです。
以前、アメリカで次のようなことが起こりました。ペニシリンという梅毒に非常によく効く薬があります。当時、ある医師は、ペニシリンが殺菌を殺す効果があると分かっていながら、梅毒を患う黒人を集め、ペニシリンを使用する群と使用しない群に分け、その効果を検査しました。しかし、ペニシリンの効果がすでに分かっているのに、使用しない群を作るのは倫理的におかしいことです。医療の分野でも進んでいるアメリカですら、1960年代以前は、このように患者の権利がなく、全て医師の指示通りに医療が行われていたのです。こうした近代医学の行き過ぎが問題となり、医学の発展は大事だけれども、医師の前にいる患者のことをもっと考えて欲しいと「患者の権利宣言」がアメリカで出されました。
日本もその「患者の権利宣言」を導入し、少しずつ患者の権利と義務をしっかりと含めた医学、医療の在り方というのが注目されるようになってきています。