心臓には、右心房・左心房・右心室・左心室・総合弁・三尖弁があり、肺から戻ってきた血液が左心房へ、左心房から左心室へと流れ、左心室から全身に血液が排出されていきます。心室の動きが正常であれば、心房もゆっくりと一定のリズムで収縮・弛緩を繰り返していきますが、心房細動を起こすと心房が震えるだけで筋肉の収縮が全く起こりません。
心房細動を起こし、心房の中が血液で澱んでくると血栓ができます。その心房の中でできた血栓が心房から心室に移動し、全身に飛び散ってしまいます。心原性の脳塞栓症とは、心房でできた血栓が脳に向かう動脈に飛んで脳梗塞となった状態で、これが心房細動が原因となる脳塞栓症です。
脳梗塞は、脳の動脈が動脈硬化になり、そこに血栓ができて詰まります。しかし、心臓でできた血栓は体のどこに飛ぶか分かりません。脳血栓は心臓の中でできた血栓が原因で脳の血管が詰まった状態です。通常、心臓でできた血栓は比較的大きく、太い血管が詰まるため、脳の広範囲が梗塞になります。大きな梗塞ができれば脳梗塞を起こした時点で亡くなったり、非常に大きな麻痺を残してしまいます。
動脈硬化が基盤で起こった梗塞と、心臓から血栓が飛んで起きた脳梗塞を比較し、その後どのような機能的形失を残したかを見てみました。その結果、一般的な脳梗塞よりも心原性の脳塞栓症の方が死亡率が高く、寝たきりや自分で歩けなくなるケースは59%にも上るという結果が出ています。
心房細動を起こした時、必ずしも動悸がするとは限りません。安静時は平気でも、今まで普通に上がれていた階段を昇ると動悸がする、狭心症や心筋梗塞と区別のつかない胸の痛みを訴える人もいます。また、ふらつきや眩暈、全身に倦怠感があるという人もいます。
心房細動は心筋梗塞と同様、はっきりした症状がないため、早期発見が難しいものです。慢性化すると症状が出なくなることもありますが、決して心房細動が治ったわけではありません。体調に変化があったり、心房細動の心配があれば早目に医師に相談し、対処していく必要があります。