心臓には全身に血液を送るポンプとしての重要な役割があります。心臓も心筋という筋肉でできているため、心臓自体に酸素や栄養分が運び込まれないとポンプとしての役割を果たせません。そのため、心臓が収縮して血液を全身に送り出すと、まず心臓自体に血液が流れていきます。この心臓に向かう血管は「冠動脈」と呼ばれています。
心臓には大きく分けて3本の冠動脈が通っています。右側を走る右冠状動脈と左側を走る左冠状動脈があり、左冠状動脈は前下行枝と回旋枝という2つに枝分かれしています。この3本の冠動脈のどこかが血栓で詰まった状態が「心筋梗塞」です。心筋梗塞とは、心臓の表面を走る冠動脈が詰まり、その先の組織に全く血液が流れなくなったため、その部分の組織が壊死してしまうことです。
心筋梗塞が怖い理由は、心臓が「再生しない臓器」だからです。例えば、肝臓などの臓器は手術で3分の2を切除しても、また元の大きさに戻ります。また、傷ができたり、骨折をしてもいずれは治ります。人間の臓器や組織はかなり強い再生能力を持っているものもありますが、心臓にはほとんど再生能力がありません。心筋梗塞で心臓の3分の1が壊死してしまった場合、残りの人生は3分の2の心臓で生きていくしかありません。