ある83歳の女性は、首が痛い、咳が止まらない、背中が痛いという症状を訴えていました。痛みの原因は、下顎にできた腺様嚢胞癌が原因で、診断で余命3か月と宣告されてしまいました。この女性は若い頃から3人の娘を一人で育て、生活は障害のある次女を中心に送っていたそうです。痛みや苦痛が強く、自分が死んだ後の次女の生活を心配していましたが、どの病院での検査でも手術などができないといわれていました。
そのため、痛みを取るためのモルヒネも効果的な方法ですが、副作用も多いため、神経ブロックという局所麻酔剤を1センチ間隔に患部を囲むように注入する方法を毎週行いました。神経ブロックに加え、エネルギーを補う補剤の十全大補湯や紅參末、コエンザイムQ10などを使用し、痛みをコントロールしていくと調子が良くなり、食欲が出てきました。
治療から3か月位経った頃、身内に不幸があり、北海道に行かなくてはいけなくなったため、初めて長女に次女を預けて出かけました。長女に預けた次女が気がかりで、急いで迎えに行ったところ、次女は長女の家族とすっかり和み、今まで見たことのない嬉しそうな顔をしていたそうです。それを見て、自分が次女と自分の人生をつまらないものにしていたのではないかと悩んでいましたが、次女を通して自分が生かされている、次女のケアに娘達が参加することで次女がより楽しく過ごせるということに気付き、気持ちが前向きになったそうです。
この女性は、自分が感動した北海道の自然を次女にも見せるため、健康にならなくてはいけないと考え、入院治療を行いました。早く良くなりたいという気持ちが非常に強かったため、非常に元気になり、退院して次女を北海道に連れて行ったそうです。その後、転勤になった三女の家族に会うために、次女とカナダにも旅行をしたそうです。
家族の不幸によって生活に変化が起こり、それがきっかけとなり新しい目的ができたことで考え方が大きく変わり、病気に振り回されることなく生活ができたケースです。この女性は、宣告された余命の3か月が8年半にも伸び、QOL(Quality Of Life:生活の質)の高い日々を生きることができたそうです。