今後の活動について

<司会>
今後の演奏活動で何か計画されていることはありますか?

<踊先生>
毎年、青森の本場で津軽三味線を1000人で大合奏するフェスティバルを行っています。その大合奏を東京でもやっていこうと思っています。メンバーの中には70代、80代の方もいます。ご存じの通り、三味線は、右手で撥(ばち)を打って、左手で弦を弾くという、右手と左手で違う動きをします。その方達は、三味線は手を動かすので脳の動きに良いと話されます。夢と希望が持てて、明日への活力になるそうです。歳は関係ありません。ぜひ何歳からでも津軽三味線に興味あればチャレンジしてください。

<司会>
最後になりますが、以前、私が読んだ「高橋竹山に聴く(佐藤貞樹著:集英社新書)」という本の一節を紹介いたします。長野県の諏訪中央病院の院長・鎌田實医師がラジオ「深夜便」で話された『豊かな生と死』というものです。今日では臓器移植が行われるようになり、それを「命のリレー」と呼びます。「命のリレー」とは、心臓や肝臓のやり取りだけをいうのではなく、亡くなった患者達の命を生ききった姿の中に豊かな命のリレーがあるという内容です。
鎌田医師のお父様は脳卒中で倒れ、意識があるか、ないかという重症が続き、88歳で亡くなられました。亡くなる前日、危険な状態であるという連絡を受けて病室のドアを開けると、お父様の枕元にカセットレコーダーが置かれ、青森県出身のお父様が好きな津軽三味線奏者の高橋竹山の三味線が静かな音で流れていたそうです。お父様は鎌田医師の奥様とお子様に手足を清めて貰い、マッサージ、爪切りをして貰っていました。もう話すことはできなかったそうですが、「Good-bye Thank you.じゃあな」という声が聞こえた気がしたそうです。
『父は好きな津軽三味線を聴きながら、孫のマッサージを受けて、良い気持ちで三途の川を渡ったのではないかという気がします。生きていることは素晴らしいし、死ぬことはそれほど怖いことではないということを、孫へ伝えることができたのではないかと思いました』。
祖父から孫への命のリレー。この感動的な場面を、著者の佐藤貞樹さんは、高橋竹山の三味線が流れているのを単なる偶然とは思えなかったそうです。『たまたま臨終の床にある人が、高橋竹山の三味線が好きだったからといえば、いえるかもしれないが、高橋竹山の音そのものが、弾き手から聴き手への命のリレーでないならば、竹山の音がまさに「命の音」でなかったら、このようなことが起こり得ただろうか』と感じたそうです。
高橋竹山は繰り返し「ものには皆、命があるように、三味線も生き物です。だから、その音にも命があります」と語っています。命の音、心のある音、生きた音でなければ聞いた人の心に通い合わせることができないというお話しが紹介されていました。
最後にまた、私達も踊先生と生き物である三味線からメッセージをいただきたいと思います。

<踊先生>
本日は長時間にわたり、本当にありがとうございました。
高橋竹山先生は、雪深い津軽の地を歩いて、津軽三味線を広めた方です。私も1度、小学生位の時にお話しをさせていただく機会がありました。今でも覚えていますが、一言だけ「僕は学校になかなか行けなかった。だから君は三味線も良いけど、勉強を頑張りなさい」といわれたことがあります。それが忘れられません。そういう言葉の中に竹山先生の奥深さがあるのだと感じました。
最後になりますが、毎日のように哀しい出来事が多く、1日でも早く良い世の中になって欲しいと願っています。また、生きている間には暗いトンネルの中に入ってしまうこともあると思います。しかし、私は出口のないトンネルはないと信じています。そういう気持ちを込めて、最後に「希望」を演奏したいと思います。
本日は本当にありがとうございました。

(演奏:踊先生創作曲 希望)



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